花々のよもやま話

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help RSS ビョウヤナギ (未央柳)

<<   作成日時 : 2008/06/03 09:30   >>

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何時も訪れる小さな公園の一角にひっそりとビョウヤナギ(未央柳)が綺麗に咲いていた。

この花の美しさは何といってもこの雄蕊。この沢山の雄蕊に水滴がついたらきっと綺麗に違いないと雨上がりの公園へ………。併し、今日の雨は強すぎたのか、花の多くは雄蕊が無残に折れて、または食いついてしまって予想外だった。よい一輪を選び撮ったショット。

画像ビョウヤナギ(未央柳)の名前の由来は、中国の漢の高祖劉邦が、長安の竜首山に造営した宮殿が未央宮(びおうきゅう)。時代は下り、唐の時代にも造営され楊貴妃と玄宗皇帝が住んだ宮を未央宮といわれている。明のとき啓祥宮(けいしょうきゅう)、清の末期に現代の太極殿(だいごくでん)と改名された。詩人「白楽天」が『太液の芙蓉、未央の柳』と詠んだ、楊貴妃の美しさを称える詩からきた名前らしい。とか、未央宮に植えられていたヤナギ(柳)の葉に似ているから付けられたと言う説もある。

画像おとぎりそう科オトギリソウ属の半落葉性低木。学名は「Hypericum chinense」である。属名の「Hypericum(ヒペリカム)は、ギリシャ語の「hypo(下)とerice(草むら)」または,「hyper(上)とeikon(像)」が語源といわれる。後者の場合は、「悪魔よけの像の上にこの花が置かれていた」ことに由来するらしい。種名の「chinense(チャイニーズ)は「中国の」を意味している。

中国が原産で、同じ属の「キンシバイ(金糸梅)」とともに江戸時代に日本に渡来し、以来ずっと栽培さてきた。どちらも公園や庭、路側帯などに植栽されているのを見ることが多くなった。別名は、ビヨウヤナギ(美容柳)、ミジョヤナギ(美女柳)、キンセンカイドウ(金線海棠)などである。

画像高さは50cm〜1.5m程度で沢山枝分かれして株立ちのようになる。葉は2枚が向き合ってつく対生で、ほぼ十字対生になるので葉のつき方は立体的である。十字対生というのは、2枚対生している葉の次の2枚が90度ずれてついていくことで上から見ると十字に見える。キンシバイ(金糸梅)もよく枝分かれし葉は対生するが、枝は垂れ下がり、対生した葉は平面的についていく。

葉柄はなく、対生している点などはヤナギとはずいぶんイメージが異なるが、和名は漢名の「未央柳」である。花の形だけからいえば、こちらの方が「金糸梅」と名前が付いてもおかしくない。

画像開花時期は6月〜7月頃、ビョウヤナギ(未央柳)もキンシバイ(金糸梅)も花弁は真っ黄色で5枚。同じ仲間だということは分かるが、印象はかなり違う。

ビョウヤナギ(未央柳)は直径5〜6cmぐらいの大ぶりな花で花弁が垂れ下がり、長い雄蕊の花糸は多数に分かれ目立ち、光り輝いて美しい。キンシバイ(金糸梅)のほうは、直径3〜4cm程度で、花弁はふくよかに丸く開く感じで雄蕊は花弁よりは短い。

中国名「キンシバイ(金糸梅」の美しい花に、江戸の知識人が与えた名が、これにになんだ「ビョウヤナギ(未央柳)」。 花の美しさに打たれ、「この花に、すばらしい日本名を」とばかり、「キンシバイ(金糸梅)」の向こうを張り、美人の「細い眉」を思い浮かべて落涙した玄宗皇帝の故事を、葉っぱでなくて、花の命名に役立てようとしたのは、いささか無理があった。漢文の世界から遠くなった昨今、若い葉を見て「ちっとも柳らしくない」との感想が多い。

画像未央柳と書いてビヨウヤナギと読ませるのにはびっくりした。前述で簡単に説明したが、ここでもう少し詳しく説明したい。

漢の高祖劉邦が、長安の竜首山に造営した宮殿が未央宮。時は下り、唐の時代にも造営され、その第6代皇帝が玄宗。「開元の治」と称賛される善政を布きながら、晩年に楊貴妃を溺愛し、彼女の一族、楊国忠を宰相に据えたところ、彼と、同じく重用した胡人の安禄山とが対立、755年に安禄山の乱を招いた。一時その勢力が強くなり、玄宗皇帝は遂に蜀に亡命し、途中の馬嵬(ばかい)でやむなく楊貴妃を殺した。その後、長安に戻った玄宗が眼にした風景は、楊貴妃が居ないだけで昔のまま。城内の大明宮にある太液池の芙蓉(当時は蓮の花)に、楊貴妃の面影を重ね合わせ、未央宮の柳に、その美しい眉を思い浮かべて、玄宗は涙、涙………。

玄宗と楊貴妃との愛と悲しみを綴った長編叙事詩「長恨歌」を世に出した唐の詩人、白楽天の諸作品は平易明快で、日本文学にも多大の影響を与え、長らく知識人の愛唱するところとなった。長恨歌にある「太液の芙蓉、未央の柳」の7言は、「源氏物語の桐壷の巻」に、そのまま使われているほどで、平安時代以降、わが知識人の素養にしっかり取り込まれている。

花言葉は幸い

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