ダイダイ( 橙 )の実

散歩していると、ある家の垣根越しに、いくつもの大きな橙(だいだい) の実が重そうにぶら下がっているのが見えた。

正月が過ぎてしまいちょっと遅いが、お目出度いダイダイ(橙)のよもやま話、うそほんと

画像ダイダイ(橙)は、みかん科ミカン属(シトラス)で学名をCitrus auranという。Citrusはミカンで、aurantiumは橙黄色のを意味する。Citrus は、レモンの木に対する古い呼び名でこれが属名になった。

柑橘類の一種、常緑の小高木で高さ4~5mになり、枝には刺が多数あって非常に樹勢が強く、寒暖にも強いので樹齢が多いものが多数ある。
葉は卵形か卵状皮針形で長さ約10cmで、先は尖り縁には小さい鋸歯(きょし)がある。花は春に咲き白色大型で直径約4センチ、上端は半開か反転する。

画像ダイダイ(橙)の原産地は、インド、ヒマラヤだが、今や世界中に分布している。日本へは古く中国から渡来したが、田道間守(たじまもり)が持ち帰ったと言う説もある。

日本書紀にある田道間守の伝説を知っているだろうか。昔の文部省唱歌にもあったそうだ。
       
ざっとこんな話だった。
病にある11代垂仁天皇(西暦61年頃)の勅命によって、田道間守は南方の常世国(中国大陸の何処か)へと旅立つ。その国には延命長寿の果物、「非時香菓(トキジクノカグノコノミ)」があり、苦節10年の後、その香菓「橘(タチバナ)」を探し当て帰国した。されど、とき既に遅し天皇は崩御されていたと言う。
 
柑橘の研究家・田中長三郎博士(1885~1976)は、橙(ダイダイ)こそがこの香菓「橘」であるというのだ。

田道間守は和歌山県海草郡下津町橘本の橘本神社内に祀られている。

画像ダイダイ(橙)実は、最初は緑で冬にだいだい色に変わるが、実は落果しにくいために、そのまま次の年の夏まで残ることがあり、その場合また緑色になる。そこから「回青橙(カイセイトウ)」という名前もあり、江戸時代の国学者、谷川士清(たにがわことすが1709~1776)の『和訓栞』(わくんのしおり)に記されている。そして、また次の冬がきたら再度だいだい色になる。こうして、一つの木に新旧の実がなるところから代々(だいだい)」の名がついた。(名前としてはふつう「ダイダイ(橙)」が使われる)

ダイダイという音(おん)が、代々と言う音(おん)と同じであることから、おめでたい果実のように言われている。

画像ダイダイ(橙)の実は大変酸味の強い柑橘である。従って、昔はお酢の代用品として使われていた。醸造酢が簡単に手にはいるようになると、あまり使われることはなくなったが、それでも、香りが良いので、水炊き等の鍋物をする時には欠かせない。我家でももっぱら水炊き用の時に使っている。

完熟すると綺麗なオレンジ色になる。俗に言う橙色というのは、このダイダイ(橙)の色を指している。冬になり、周辺の色が少なくなった頃、この色は大変良く目立つ。遠くからでも色鮮やかな橙色が一際美しく見える。
       
完熟すると酸味も薄くなるのか、ヒヨドリ(鵯)などが盛んに実を啄ばんで落としていく。2~3月の山に餌が少なくなる時期だから殊更なだろう。鳥達の苦労が分かるような気がする。

画像世界中で広く植栽されていてヨーロッパではサワーオレンジと言われて親しまれている。ダイダイ(橙)の類には、果肉の酸味が強い酸橙類と甘みの強い甜橙類(ネーブル・オレンジの類)があり、日本でも各地で栽培されている。

池波正太郎も著書『味と映画の歳時記』の中で、子供の頃飲んだこのダイダイ(橙)の暖かい飲み物を語っている。

また、スペインではダイダイ(橙)の木の花からネロリ油を採るために多量に栽培されている。

ダイダイ(橙)の実は正月の飾りつけには、欠くことが出来ないもので、ダイダイ(代々)の名前の由来には、ダイダイ(橙)の果皮が正月ころには黄金色になり、黄金(こがね)の意味を兼ねて代々栄えるという意味から、玄関先に飾りつける風習がある。

「万葉集」には橙(ダイダイ)は阿部橙(アベタチバナ)と言う名で登場する。

「吾妹子に 逢はず久し もうましもの 阿部橙の こけむすまでに」万葉集 作者不詳

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この記事へのコメント

2008年02月19日 21:27
こんばんは。画像のダイダイは、甘くて美味しそうに見えますね。
ポンカンかオレンジ、デコポンのような形にも見えます。
田舎の庭にダイダイが植えてあり、酢代わりとして料理用に使っていました。ジューシーで汁がたくさんとれますよね。
柑橘類の酢はまろやかさがあり、醸造酢と違って美味しいですね。
風邪の時なども蜂蜜を入れて熱いお湯割りで飲んでいました。こちらでは余り見かけないようで、時々送って貰っています。
正月の門飾りにも、昔はこれが活躍していましたが・・。
>実は落果しにくいために、そのまま次の年の夏まで残ることがあり、その場合また緑色になる。そこから「回青橙(カイセイトウ)」という名前もある。ひとつの木に新旧の実がなるのですね。
小さい頃よく見ていたつもりですが、初めて知りました。
万葉集では1首のみなんですね。
2008年02月20日 10:53
こんにちは
ダイダイについての和歌を色々調べたのですが、万葉集に一首だけありましたので載せました。
この実を見たときは、ダイダイとは思いませんでしたが、枝に鋭い棘があったので、すぐにダイダイと分かりました。近くの神社の境内に植えられていたものです。
ダイダイを使ったポン酢のようなものが、スーパーが売っているのを見かけます。家内に言って一度使ってみたいと思います。

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