ムクゲ (木 槿)

サルスベリ(百日紅)やキョウチクトウ(夾竹桃)と並ぶ夏の花がムクゲ(木槿)である。

公園の池のほとりにある広場の1角に咲いていた。一瞬見るとハイビスカス(Hibiscus)とよく間違えてしまう。

夏から初秋にかけて白や赤紫色をした花を咲かせ、乾燥にも強いので、庭木のほかに街路樹に良く植えられている。

画像中国名を「木槿(ムージン)」と呼ぶ。 名前の由来は漢字はこの字があてられている。 漢名の「木槿」の音読み「もくきん」が変化して「ムクゲ」となったとも、 韓国の呼び方「無窮花(ムグンファ)」または 「ムキュウゲ」が変化して「ムクゲ(槿)」となった、 ともいわれる。

あおい科フヨウ(ハイビスカス)属の落葉低木で、学名は「Hibiscus syriacus」である。属名の「Hibiscus」は「フヨウ(ハイビスカス)属」を表し、種名の「syriacus」は「シリア(小アジア)の」を意味している。

中国、インド原産。学名に「Hibiscus syriacus」とあるように、中近東にまで自生しているとされるが、原産国がシリアとされているわけではない。日本には奈良時代に中国から渡来したもので、中国名を木槿(もくきん)といい、「和名抄」に「木波知須(キハチス)」とあるように昔はキハチスと呼ばれたが、単にハチスともいわれた。

画像高さは3~4mにもなる。乾燥にも強く、荒れ地にも耐えるので庭木の他、道路路側帯などにも植栽されている。同じ属のフヨウ(芙蓉)がこんもりとした樹形になるのに対して、ムクゲ(木槿)はやや茎の1本1本が細長く縦に伸びており、枝は灰白色で、若い枝には白っぽい星状毛がある。

葉は節ごとに一枚ずつ方向を異にして互い違いに生えている互生をしている。長さ5~10cm、輪郭は葉の中央より付け根寄りが最も幅が広い卵形~菱形に近い形で、浅く3つ裂けているが、ほとんど裂けないこともある。縁には鈍いギザギザの鋸歯があり、フヨウ(芙蓉)よりも細身で小さめである。葉柄は1cmに満たない程度から長いものでは3cmくらいである。

画像開花時期は6月下旬頃~10月中旬頃。枝先の葉の腋に直径5~10cmの花をつける。花びらは5枚。花の中心部はしばしば濃い紅色を帯びている。多数の雄蕊がついて(合着して)筒状になり、「葯」が沢山連なって見えて、その筒は雌蕊を取り囲んでいる。雌蕊はその筒の先端から突き出ている。花色は、紅紫色、薄紫色、白色などがある。白い花弁に中心が赤い品種や、「日の丸」などの1重咲きのほか8重咲きの品種も多くある。花はフヨウ(芙蓉)よりやや小さめ。8重咲きのタイプは、雄蕊が花びら化している。

朝方に花が開き、夕方には萎んでしまう一日花である。併し、花が次々に咲き、花期が長いため朝鮮語では無窮花(むきゅうか)と呼ばれている。

果実は2cmほどの先の尖がった卵形で、熟すと5つに裂けて開く。秋も深まった頃に、カラカラに乾燥して先が開くと、中には長さ5mmくらいの平べったい腎形の種子が沢山入っている。種子の色は褐色、縁には淡い褐色の毛が密生している。とても不思議な形状の種子である。

画像夏の深夜から早朝にかけて咲きはじめ、夕べには花を閉じてしまう「儚い花」である。
「道のべの 木槿は馬に くはれけり」  松尾 芭蕉
「それがしも 其の日暮らしぞ 花木槿」 小林 一茶

花の儚さが、時の移ろいにことさら鋭敏な俳人たちの句心をそそったのだろう。多くの俳人に数多く詠まれている。1日花のため、華道では余り好まれていない。併し、茶道では、1日花ゆえに「一期一会」の趣を愛でるのに相応しい花といえる。「冬は椿、夏は木槿」と言われるほど夏の名花として好まれる花材である。ムクゲ(木槿)には「槿花一朝の夢」という言葉があるが、人の世の短い栄華をムクゲ(木槿)の花の儚い命に喩えたものである。

その反面、花は1日花だが、その花を咲かせる樹は強い生命力を持ち、夏から秋にかけて長期間、夏の1日を命の限り咲き誇る花をつけ、散っては咲き、咲いては散り、次々と花を咲かせ続ける。そのため韓国では,ムクゲを「無窮花」と呼んで、「国民花」として愛されている。また「朝鮮」の語源は「朝に鮮やかに」咲くムクゲ(槿)の花であるという説もある。

画像ヨーロッパへは、中国から16世紀頃伝えられ、「シャロンのバラ」と呼ばれて親しまれている。かっては、日本では和歌山県や山口県に野生のムクゲ(槿)があったといわれ日本原産という説もあるが詳細は不明。
ムクゲ(槿)の薬効には多くのものがあり、花を乾燥させたものを「木槿花」、樹皮を乾燥させたものを「木槿皮」、果実を「朝天使」と呼び、胃腸炎、腸出血、下痢、嘔吐などの特効薬として使用されてきた。また、若葉はゆでて食用にもなる。

ムクゲ(木槿)を詠んだ和歌と俳句
「はらはらと 雀飛び来る 木槿垣 ふとみればすずし 白き花二つ」 北原 白秋
「白木槿 言葉短く 別れけり」 石井 露月
「四五人の  賛美歌木槿 咲きそめし」  藤田 湘子

花言葉の1つに「いつも新しい美」というのがあり、これは花が毎日次々と入れかわって咲き続けることに由来しているようだ。

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