ツルニンジン (蔓人参)

奥御岳の奥入瀬といわれるロックガーデンに行く途中の山道で、ツルニンジン(蔓人参)が咲いていた。

花は釣り鐘状で独特の色をしていて、下向きに咲いているので見過ごしてしまうところだ。

3脚を構えて写真を撮っていると、ハイカーが「何を撮ってるんだろう」といいながら通り過ぎていった。

画像ツルニンジン(蔓人参)の名前は、茎が蔓性で、根は朝鮮人参(高麗人参)の根に見立てたことに由来する。別名には、ジイソブ(爺蕎)やヘクサヅル(屁草蔓)、ヘクサニンジン(屁草人参)などの方言がある

ききょう科ツルニンジン属の蔓性多年草で、学名は「Codonopsis lanceolata」である。属名の「Codonopsis」はギリシャ語の「codon(鐘)」と「opsis(~に似た)」が語源で、花が鐘の姿形をしていることにちなみ、種名の「lanceolata」は、「葉身が皮針形である」ことを意味している。

画像原産地は東アジアからインドで、日本では北海道や本州、四国、九州に広く分布し、山地帯~亜高山帯の湿り気のある草地や林縁、明るい林内、渓谷に生育している。春の芽だしは30cm程度で直立し、その後、茎は蔓となって数メートル程度まで伸び、近くの草や木の枝などに絡まり巻きついている。地下には塊状になった根がある。傷つけると白い汁を出して臭い匂いがする。

葉は茎の節ごとに1枚ずつ方向を異にして互い違いに生えている互生をしているが、枝の先では3~5枚が輪生状(茎の各節から3枚以上出ている)に集まってついている。葉の質は薄めの感じである。新葉には毛があるが、やがて無毛になり、裏面は粉をふいたように白っぽくなっている。小葉は楕円形よりも細長く高さが幅より3~4倍くらいある長楕円形であり、長さは3~9cmで、幅は1.5~4cmである。

よく似た「バアソブ(婆蕎)」の場合は、葉の縁や裏面に白い毛が生えている。両者の違いは、花や種子を見る方が確実である。ツルニンジン(蔓人参)の種子は光沢がなく薄い褐色で大きな翼(葉柄の部分にある平たく広がった構造物のこと)があるが、バアソブ(婆蕎)の種子には光沢があり黒褐色で、翼はない。

画像開花時期は8月~10月ごろで、蔓の葉脈から幅の広い釣鐘形の2~3cmの花を下向につける。花は先端は5ツに浅く裂けて、後ろに反り返ってクルクルッと巻いたようになる。花(花冠)は長さ、直径ともに2~3cmほどである。外側から見るとちょっと緑色がかった白っぽい花で、下向きに咲くので目につきにくいところがあるが、中を覗くと驚いてしまう。内側には紫褐色の模様がある。萼片は大きく5枚ある。

ツルニンジン(蔓人参)の花には、5本の雄蕊があって雌蕊が成熟する前に雄蕊が成熟する。柱頭が3ツに分かれる雌蕊が成熟するころには雄蕊は花粉を出し終えて萎れていく。このような「雄性先熟」という仕組みによって、同じ花での受粉を避けることができるわけである。

画像2番目の写真は蕾の状態で、プクッと膨らんだ薄い緑色で、何かを張り合わせたようになってる。その何かというのは、萼片なのだが、開くと5ツあり、長さは2cmほどである。

花冠が落下した跡に扁平な果実ができる。果実は萼片のついた朔果(成熟すると果皮が裂開する果実)となる。果実の中には、長さ5mm程度の薄い膜をつけた種子が沢山入っている。果実が茶色に熟すと、袋状の果実の上面が裂開して種子が散布される。

ツルニンジン属は55種ほどあり、中国を中心に東アジア一帯に分布している。日本にはほかにバアソブがある。別名はジイソブ(爺蕎)は爺のそばかすの意味しており、これは類似品種のバアソブ(婆蕎)は婆のそばかすの意味で、花冠にある斑点により似いて、より大きいことによる。

画像ツルニンジン(蔓人参)は朝鮮ではトドックといい代表的な山菜である。根をキムチや揚げ物、和え物にし、若芽も食べる。野生品は少ないので栽培もする。沙参とも呼ぶが、これは本来ツリガネニンジン属(シャジン)の呼び名である。日本では余り食べない。併し、ツリガネニンジン(釣鐘人参)は長野県などでトトキともいわれ代表的な山菜である。トドックとトトキの名は関係があるともいわれるが確証はない。

また朝鮮人参(高麗人参)と同じような効能があるといわれ薬用にもされている。漢方ではツルニンジン属の他種を含め党参(トウジン)と呼んでいる。ツルニンジン(蔓人参)の中国名は羊乳と呼ばれている。

ツルニンジン(蔓人参)は、朝鮮王朝時代の宮廷を舞台とした有名なTVドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」にも、時々登場していたので、知っている人もいるかもしれない。

ここで、第21話の場面をご紹介をしたい。最高尚宮(チェゴサングン)の地位をかけたハン尚宮とチェ尚宮による「王と皇太后に捧げる料理」の最終決戦である。それは、チャングムが幼い頃、瀕死の母親に食べさせた最期の食材「野苺」の砂糖漬けでハン尚宮が勝利したというデザート対決での場面であった。

対するチェ尚宮が捧げた逸品に、皇太后が「素晴らしい」と絶賛したのだが、そのデザート「ソプサンサム」こそ、実は「ツルニンジン(蔓人参)」の揚げ菓子だったのである。

花言葉は執着である。

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