オオバナノエンレイソウ (大花延齢草)

雑木林の中で咲いている花がオオバナノエンレイソウ(大花延齢草)である。

山野草として見ると、菱形の3枚の葉だけがすっきりと出て、いたってシンプルな形だ。花は何処にと言うと、葉の上にちょこんと載った3枚の萼の上にあり、1ツの茎に1ツの花が咲いている。

背の高さは30cmほどだが、大きな葉がドレスのようで「森の貴婦人」ともいわれている。

なんとなく気品が感じられる花でである。

画像オオバナノエンレイソウ(大花延齢草)の名前は、中国では根茎を食あたりの薬草として用いたことから、エンレイソウ(延齢草)の名前になり、白い大きな花からに由来している。果実がソバ(蕎麦)の実にそっくりなのでヤマソバ(山蕎麦)や果実には、甘みがあり生のまま食べるがことができるのでアマチャ(甘茶)の別名がある。

ゆり科エンレイソウ属の多年草で、学名は「Trillium kamtschaticum」である。属名の「Trillium」は「3のユリ(百合)」を意味し、開花個体が3枚の花びらと萼片、葉を持つことにちなみ、種名の「kamtschaticum」は「カムチャツカの」を意味している。

画像千島列島やサハリン、カムチャッカ~ウスリー、中国東北部、朝鮮半島に分布し、日本では北海道や本州の北部に自生しており、低地から亜高山帯(高山帯と山地帯との間)のじめじめと湿った場所や平地の草原、明るい森林内などにしばしば群生している。

草丈は20~40cmくらいで、根茎(根に似て地中をはい、節から根や芽を出す)は太く短く多数の根があり、4月頃になると1~3本の茎を伸ばす。茎の上部に菱状卵形(先の尖った中央より付け根寄りが最も幅が広い)の長さ10~15cmの葉が、3枚輪を描くように輪生(茎の各節から3枚以上出ているもの)につく。

画像開花時期は5月~6ごろで、茎の頂部に花径が3~4cmの大型の白花を上から横向きにつける。花びらは3枚で緑色の萼片3枚あり、雄蕊が6本、雌蕊1本ある。

花が咲いた後の果実は液果、球形で黒紫色に熟す。果実の色は変化に富み、緑色になるもの、黒紫色になるもの、赤紫色になるもの、うすい黒色になるものがあり、それぞれアオミノエンレイソウ(青味延齢草)、クロミノエンレイソウ(黒味延齢草)、アカミノエンレイソウ(赤味延齢草)、ウスクロミノエンレイソウ(薄黒味延齢草)と分ける学者もいる。

また、萼片の色にも違いがあり、黒ずんだ緑色、緑色、帯紅色などがある。

画像エンレイソウ(延齢草)の仲間は10~15年かけてやっと開花する。発芽したばかりの株は笹状の長さ2cmほどの葉が1枚でるだけで、この状態が5年くらい続く。そして、やっと葉が3枚になり、花をつけるまでさらに5年以上を要する。そんなことを知ってしまうと、可憐な花をつけた花が愛おしくてしかたがない。

それでも、上には上がいて、バイケイソウ(梅蕙草)は発芽から開花まで、実に90年以上かかるそうだから驚きである。

正徳2(1712)年頃出版された日本の類書(百科事典)の和漢三才図絵には、エレンソウ(恵連草)、エレイソウ(恵礼牟草)の名前があり、「其の根は半夏の如し。陰干しにし、食傷薬なす」として、食傷(食あたり)などの場合には、根茎を薬草として用いていた。

画像北海道大学敷地内にも5月下旬頃に北キャンパスの原生林に多くの群落を見ることができる。北海道大学では、オオバナノエンレイソウを校章に採用している。

北大恵廸寮の寮歌「都ぞ弥生」から。
牧場の若草陽炎燃えて 森には桂の新緑萌し
雲ゆく雲雀に延齢草の 真白の花影さゆらぎて立つ
今こそ溢れぬ清和の光 小川の辺をさまよい行けば
美しからずや咲く水芭蕉 春の日の この北の国幸多し

この歌詞にある、「雲ゆく雲雀に延齢草の 真白の花影さゆらぎて立つ」というエンレイソウ(延齢草)は、やはりオオバナノエンレイソウ(大花延齢草)のことだろう。高さが40cm以上にもなるオオバナノエンレイソウ(大花延齢草)は、「さゆらぎて立つ」という風情がそのままの姿である。

花言葉は奥ゆかしい美しさである。

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