シュウカイドウ (秋海棠)

夏の終わりから秋にかけて、垣根や家の日影に、淡紅色の花を咲かすシュウカイドウ(秋海棠)である。

花の形が独特で日本の植物で同じようなものがみあたらない。今までは各地に野生化している。昭和の初めに決められた新秋の七草に数えられているので、すでに市民権を得ていることではないだろうか。

花の淡紅色が、初秋の風で揺れていた。

画像原産地は中国で漢名はシュウカイドウ(秋海棠)である。名前の由来は秋にカイドウ(海棠)に似た色の花を咲かせるからという。カイドウ(海棠)はバラ科の木本であり、全く異なっている植物で花の色や垂れ下がって咲く様
が似ているというのだが………、中国人のカイドウ(海棠)好きから付けられた名前であろう。

別名には相思草や断腸花、瓔珞草、八月春などがある。その名前の由来を紹介したい。

中国の「漳州府志」に描かれている「相思草」の由来。
秋海棠は歳毎に苗が生え、その茎は甚だ脆く、葉は背が紅乱紋を作している。これは相思血というもので、昔、ある人が深い恋に悩んで血を階下に噴いたのが、この物になって生えたのだと語り伝えてある。故に相思草とも名づける。この花は一朶が落ちると旁に二朶を生じ、2が4を生じ、4が8を生ずる。大極の象を具えたもので、特別に雅艶なものである。又、相思草(あいおもいぐさ)は煙草の別名でもある。

画像中国の「採蘭雑誌」に描かれている「断腸花」の由来。
昔、さるところに、美しい婦人がいた。この女性には誰にもまた何物にも換え難い思慕する男性があった。そして毎日の逢瀬を楽しみに待っていたのであったが、故あってその彼氏はどうしても訪れることができなくなった。それを知らずに、婦人は今日は見えるか、明日は姿が、と北面の墻に待ちあぐんでいた。そして日ごとにそそぐ断腸の涙がいつか凝って名も知らぬ草が生え、その草の花の紅色が、その緑の葉に映ってまことに美しく、やさしく、ちょうどこの美しい女性にも似ているので、誰いうとな「く断腸花」と呼ぶようになった。’

「瓔珞草」の由来は、仏像の装飾具で飾り玉の瓔珞に由来している。

画像しゅうかいどう科シュウカイドウ属の多年草で、学名は「Begonia evansiana」である。属名の「Begonia」は、17世紀のサントドミンゴ島の総督で、植物学に詳しい「Begon(ベゴン)」博士の名前にちなみ、種名の「evansiana」は「園芸家のエバンス氏の」を意味している。

シュウカイドウ(秋海棠)はベゴニア(Begonia)の仲間で、原産地は中国の長江以南、山東省及び河北省といわれている。江戸時代初期に日本に持ち込まれて以降、園芸用として栽培されている。貝原益軒の大和本草に、「寛永年中、中華より初て長崎に来る。………花の色カイドウ(海棠)に似たり。故に名付く」と記されている。

画像ベゴニア(Begonia)の仲間のは4季咲きだが、シュウカイドウ(秋海棠)は秋にしか花をつけない。またa寒さに強く、唯一日本の戸外でも日陰の湿った場所で良く育っている。地下に塊茎(地下茎の1部が養分を蓄積して大きくなったもの)があり、毎年この塊茎から地上茎をだす。

地下の塊茎から40~60cmほどの茎を出し、葉柄のつけ根は赤みを帯びる。葉は左右がアンバランスの卵状心臓形(葉の中央より付け根寄りが最も幅が広いハート形)で互生(茎の節ごとに一枚ずつ方向を異にして「葉」がつくもの))をしている。長さ15cmほどで、縁には鋸の歯のようなギザギザが斜め前方を向いてそろっている鋸歯がある。この葉は長さが 20cm 程度と大きい。葉には蓚酸が含まれている。

開花時期は8月~10月。花期になると葉の脇から花柄を出し、房状の下垂する淡紅色で2~3cmの小さな花を咲かせる。雌花と雄花との別がある雌雄異花で、雄花は茎の頂部につき、花びらが開き黄色く球状に集まった雄蕊が目立っている。小さな花びらが2枚と、大きな花弁のように見えるのは萼で2枚からできている。雌花には花びらはなく、大きな萼の2枚が僅かに開いている。雌花は上手に栽培しないと咲きにくく、目立たない。

花が終わると、焦げ茶色がかり羽が3枚ある楕円形の実を付ける。この種子のほか、開花後には葉腋に珠芽を付け、それでも殖える。

画像話が変わるが、明治~昭和にかけて小説家、随筆家で、「あめりか物語」や「ふらんす物語」、「腕くらべ」「墨東綺譚」を著した永井荷風の日記「断腸亭日乗」は断腸の悲しみを綴ったわけではない。荷風が37歳の時に牛込区余丁町の邸内に一室を新築し、秋海棠を植えて断腸亭と名付けていたからである。

又、創元推理文庫にある北村薫の「秋の花」では秋海棠(断腸花)の花が使われている。「人を思って泣く涙が落ち、そこから生えたという花(あとがきより)」。

秋海棠を詠んだ俳句
「秋海棠 西瓜の色に 咲きにけり」 松尾 芭蕉

花言葉は自然を愛す、恋の悩み、片思い、未熟などである。「片思い」はハート形の葉の片方が大きくなるところからといわれる。


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