コナギ (小菜葱)

閑静な武蔵野の風景を残している公園では色々な花が咲いている。

田んぼの畦道の隅で青紫色のコナギ(小菜葱)が咲き始めていた。弥生時代にイネ(稲)と一緒に入ってきた帰化植物である。農家にとっては厄介な雑草だ。

「ナギ(菜葱)」は「ミズアオイ(水葵)」のこと。ミズアオイ(水葵)は、花も多数つけ花が葉の上に高く伸びて咲くので、よく目立つが、コナギ(小菜葱)は、花序より葉の方が長いので隠れるように、青紫の綺麗な色が、日に当たって輝き咲いていた。

画像コナギ(小菜葱)の名前の由来は、ミズアオイ(水葵)の古名からきている。ミズアオイ(水葵)は葉の形がアオイ(葵)に似ているのでこの名前があるが、古名ではナギ(水葱)と呼ばれ、昔は葉を茹でて食べていたことから「メギ(菜葱)」という字が当てられた。コナギ(小菜葱)はナギ(水葱:ミズアオイ:水葵)に似ているが、小型であるという意味で呼ばれるようになったという。

みずあおい科ミズアオイ属の1年草で、学名は「Monochoria vaginalis」である。属名の「Monochoria」は「monos(単)」と「chorizo(離す)」からなる語で、「雄蕊の1本が2又になり1葯が離れているためならん」にちなみ、種名の「vaginalis」は「鞘状」を意味している。

画像東南アジアが原産で、弥生時代にイネ(稲)とともに日本に渡来した。日本の全土に分布し、湖岸の湿地や沼地、水田、休耕田などに自生している。また、何処の水田でも咲くわけでなく、除草剤を撒かない水田や休耕田に限られ、小さな可愛い花であるが農家にとっては厄介な水田雑草であるといわれている。まとまった群落にはならない。

草丈は100~200mmぐらいの大きさ。コナギ(小菜葱)とミズアオイ(水葵)はどっちも水生植物で同じような場所に生え、また、葉の形がよく似ているが、コナギ(小菜葱)の方がやや小型である。コナギ(小菜葱)の花茎は葉よりも短く葉柄の基部にあるが、ミズアオイ(水葵)は真っ直ぐに立ち葉よりも高くなり、花が咲く頃には見分けがはっきりでききる。ミズアオイ(水葵)は絶滅危惧種とされているが、北海道の水田では多く自生しているので、主要な雑草である。尚、近年では、新しく帰化した雑草のアメリカコナギ(亜米利加小菜葱)が西日本で分布を広げているようである。

画像発芽時には細長く平たい子葉が1枚、俵状の種子の殻を先端に着けたまま横に開いて土から出てくる。その後、数枚のやや広い線形の葉が出る。この頃の姿はウリカワ(瓜皮)、オモダカ(面高)、ヘラオモダカ(箆面高)などとよく似ているが、コナギ(小菜葱)は葉先が1番尖っているので見分けがつく。

その後に出てくる葉は、ササ(笹)のような形をしているが、成長すると新しく出てくる葉の先が次第に丸くなり、やがて先端が卵形、心臓形などの形の葉になる。方言ではコナギ(小菜葱)をササナギ(笹菜葱)、イモバグサ(芋葉草)、タバス(田蓮)、ツバキグサ(椿草)、トリノシタ(鳥の舌)、ハートグサ(心臓草)などの呼び名があるが、それぞれ、コナギ(小菜葱)の成長によって変化する形態から名付けられたのであろう。

画像9月~10月頃が開花時期で、15~20mmぐらいの青紫色の花が集まって短い房状の穂となる。水深の浅い止水を好み、はなが咲いて、その日のうちに枯れてしまう1日花であるが、次から次へと花を咲かせる。花の咲き始めと終わりに自花受粉する。

コナギ(小菜葱)は背丈の低い雑草だが、一年生雑草のなかではイネに最も害を及ぼす雑草の1つ。イネ(稲)への雑草害は、主に養分の奪い合いによるものと考えられている。コナギ(小菜葱)の地上部の窒素含有率はイネ(稲)に比べ2倍ほどあるため、見かけの草の量に比べてイネ(稲)の生育に及ぼす影響は大きくなる。地上部の乾燥重量が同じであればノビエ(野稗)よりもイネ(稲)の収量の低下程度が大きくなるという試験結果もある。また、ある研究におると、コナギ(小菜葱)がはびこった場合には、イネ(稲)の分げつ芽に対する遮光の影響を指摘している。

ミズアオイ(水葵)はかっては水田に咲いていたが、今は絶滅寸前にあり見る事もなかなか難しい。コナギ(小菜葱)の方はしぶとく生き延びている。除草剤を控える水田が増えているため、散歩の途中あちこちで花を見る事が出来る。
画像東南アジア原産で稲作の渡来と共に帰化し、古くから知られた花で、万葉集にも3首ほど読まれている。
「春霞 春日の里の 植え小菜葱 苗なりと言ひし 枝はさしにけむ」や「上毛の 伊香保の沼に 植え小菜葱 かく恋むとや 種求めけむ」とあるように、昔は野菜として植えられ、漢字も子水葱(コナギ)、小水葱(コナギ)と書いて小さな水葱(ナギ・ミズネギ)の意である.水葱(ナギ)はミズアオイの古名で、ナギもコナギも食用とされていた。

江戸時代の農業書の「菜譜」にも水菜(みずな)の1つとして挙げられており、東南アジアでは今でも野菜として売られている。また、「苗代の 小菜葱の花を 衣に摺り なるるまにまに 何か愛しけ」とあるように、「衣にする」、つまり、染料としても用いられていたようである。当時、青い染料は貴重であり、また、中国では痛み止めの薬草ともなった。

かっては野菜であり、染料となり、薬草でもあったコナギ(小菜葱)も現在では水田の雑草であり、農家にとっては厄介な代物であるが、同じ頃、水田には水田雑草としてオモダカ(面高)やホソバヒメミソハギ(細葉姫溝萩)、イボクサ(疣草)、タカサブロウ(高三郎)、クサネム(草合歓)、ミゾカクシ(溝隠し)、アゼナ(畦菜)、ホタルイ(蛍藺) 、タマガヤツリ(玉蚊帳吊り)などが咲く。

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