ツリガネニンジン (釣鐘人参)

ツリガネニンジン(釣鐘人参)は、キキョウ(桔梗)などと共に、秋の到来を感じさせる草原を代表する山野草の1ツだ。

紫の小さなベル形の花をつけている。

時折吹く秋風にゆらゆらとゆれる姿を見ていると、かすかに、「チリン」とベルの音が聞こえてくるような佇まいだ。

画像ツリガネニンジン(釣鐘人参)の名前は、お寺の境内の鐘楼に吊るされた鐘を梵鐘と呼び、この梵鐘に花の形を見立て、地下の根を人参(朝鮮人参)に見立てことに由来している。英名は、「Lady bells」。
 
ここでいうニンジン(人参)とは野菜のニンジン(人参)ではなく、薬草で名高い「チョウセンニンジン(朝鮮人参)」のことである。「チョウセンニンジン(朝鮮人参)」は高価なものだが、 江戸時代にはさらに高価な薬だったとされている。

それまでは「チョウセンニンジン(朝鮮人参)」自体は輸入されずに、それを乾燥または蒸した根が輸入されただけだったので、その根の形をたよりに、日本産の「ニンジン(人参)」を探す試みが繰り返された。そのときの名残りが今も「ツリガネニンジン(釣鐘人参)」「ツルニンジン(蔓人参)」「イワニンジン(岩人参)」などの和名として残っている。

画像ききょう科ツリガネニンジン属の多年草で、学名は「Adenophora triphylla var. japonica」である。属名の「Adenophora(アデノフォーラ)は、ギリシャ語の「adenos(腺)」と「phoreo(有する)」が語源で、植物全体に乳液を出す腺細胞があるところからにちなみ、種名の「triphylla」は「3枚の葉の」、小名の「japonica」は「日本の」を意味している。

日本や朝鮮半島、中国、カラフトが原産で、日本では沖縄を除く北海道から九州にかけて分布している。日当たりのよい山野の乾いた草原や丘陵に生えている。根は真っ直ぐ地中に深く伸びていて60~80cmにもなる。また、地上部近くを這って直立する場合もある。形はゴボウ(牛蒡)のようで、色はうすい黄色をしている。

茎は丸い柱(断面円形)のようで、細かい毛が隙間なく生えており、ほとんど枝分かれせずに真っ直ぐに直立して、草丈は40~100cmになる。全体に腺細胞があり、切ると乳液が出る。これはツリガネニンジン属の学名である「Adenophora(腺がある)」に表されている特徴である。

画像根生葉(茎が極端に短いため、根または地下茎から直接出ているようにみえる葉)は、長い柄があり円心形である。開花時期に枯れるが、刈り取った後に再び生えてくる事がある。

茎生葉(茎から出る葉)は、柄が極端に短く3~6枚が輪生(茎の1節に葉が3枚以上つくこと)している。まれに、対生(茎の各節から二枚ずつ向き合って出ているもの)か互生(茎の節ごとに1枚ずつ方向を異にしてつくもの)する場合もある。形は長楕円形(楕円形よりも細長く高さが幅より3~4倍くらいあるもの)、卵形(葉の中央より付け根寄りが最も幅が広い)、線状披針形(細長く両縁がほぼ平行で平たい帯状の形をした、細長く両端が尖り、中央より下が1番幅が広い)など様々である。

長さは4~8cm、幅は5~40mm、葉縁はの歯のような「ギザギザ」が斜め前方を向いてそろっている鋸歯状があり、先端は鋭く尖っている。

画像開花時期は8~10月ごろで、茎の先に円錐状の花序を出し、数段に花を数個ずつ、やや垂れ下がるように輪生している。

花びら全体は釣鐘型の花びらが1部または全部つながっ ている合弁花で、先端が5ツ裂けて淡緑色を帯びている。花色は、淡紫色や白色、個体によってやや濃淡がある。花びら全体の長さは12~20mmで、花の径は10mm程である。雄蕊5本、雌蕊1本があり、花びら全体から長く突き出したものは雌蕊の花柱で、先は3ツに分かれている。萼は5ツに裂けており、長さは3~5mmの細長い線形であり、突起状鋸歯が1~4個あって、反り返っている。

花は色々と変異があって、花びら全体の大きさや形などは、細かったり大きく膨らみがあったり、花びら全体の裂片の先が少し反っていたり、ほとんど反り返っていなかったりしている。

 画像日本には、古くから「山でうまいのはオケラ(朮)にトトキ(神菜)、嫁にやるのもおしござる」という、はやし歌があるが、春先のツリガネニンジン(釣鐘人参)の若芽は非常に美味しく、人に食べさせるのも惜しい気持ちをはやしたものである。一般の山菜と違って、これだけ全国的に食べられている薬草は余りない。

朝鮮語でツリガネニンジン(釣鐘人参)をトドック(希幾)と言い、トトキ(神菜)とはそれが転訛したもので、「ツリガネニンジン(釣鐘人参)」の古い呼び名である。乾燥根は、漢方生薬名シャジン(沙参)として、鎮咳・去痰薬として用いられている。

ききょう科は釣鐘に由来し、温帯から熱帯に約60属2,000種がある。ツリガネニンジン属は、ユーラシア大陸に50種ほどあり、日本には約10種が自生している。

花言葉は優しい愛情、感謝、誠実である。

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