リンドウ (竜 胆)

リンドウ(竜胆)の澄み切った青は、晴れた秋の空の色と同じだ。

以前は人家近くの野山や明るい山道のそばに良く咲いていたものであるが、今は少なくなり奥山に行かないと合えなくなった。花は秋遅くになって咲き始め、霜が降りる頃まで開花しつづけ、リンドウ(竜胆)が咲く頃になると、山は紅葉の季節となる。

キキョウ(桔梗)やオミナエシ(女郎花)などと同じ様に里山の山野草ではあるが、咲く季節が遅れるので秋の七草には選ばれていない。

画像リンドウ(竜胆)は古くは、えやみぐさ(疫病草)(瘧草)とも呼ばれていた。根や根茎を咬むと非常に苦く、中国で熊の胆よりさらに苦いというので竜の胆嚢という意味の竜胆(りゅうたん)の名が付けられ、日本ではその竜胆を「リュウタン」と音読みをしていたが、それがいつの間にか転訛してリンドウ(竜胆)と呼ばれるようになったのだといわれている。

りんどう科リンドウ属の多年草で、学名は「Gentiana scabra var. buergeri」である。属名の「Gentiana(ゲンティアナ)は、紀元前の頃のイリリア王「Gentius」の名前にちなみ、種名の「scabra」は「デコボコのある、ざらついた」、小名の「buergeri」は「採集家のブュルゲル氏の」を意味している。

画像日本や朝鮮半島、中国が原産で、本州から四国、九州の湿った野山や丘陵地の草地に自生している。草丈は50~60cmくらい。1ツの株から花茎が1本から数本真っ直ぐのび、普通は枝分かれしていない。笹の葉に似た、葉は茎の各節から2枚ずつ向き合って出ている対生で10~20対あり、形は細長く両端がとがり、中央より下が1番幅が広い披針形で長さは4~12cm、幅は1~3cmで先は尖っている。葉縁は縁が滑らかでデコボコが無い全縁だが、細いデコボコがあり、ざらついた感じになっている。葉脈は主脈と両側に支脈がある。

開花時期は秋。花は晴天の時だけ、茎頂部に綺麗な濃紫色の釣り鐘状の花を数個つけ、大きさは長さ4.5~6cm、真ん中で5ツに裂けており、裂けた花びらは細長く縁がとがり、中央より下が1番幅が広い線状披針形で外側に反り返っていて、雄蕊5本、雌蕊は1本である。

かっては、水田周辺の草地やため池の堤防などに、リンドウ(竜胆)やアキノキリンソウ(秋の麒麟草)などの草花がたくさん自生していたが、それは農業との関係で定期的に草刈りがなされて、草丈が低い状態に保たれていたためだった。最近になって、そのような手入れのはいる場所が少なくなったため、リンドウ(竜胆)をはじめこれらの山野草は見る機会が少なくなってしまい、リンドウ(竜胆)を探すことも難しくなってしまっている。

画像話は変わりリンドウ(竜胆)に関わる中国安徽省の民話。
安徽省天長県の東北に後家湖と呼ばれている湖の跡があり、丈が1尺あまりの雑草が一面に生えていた。或る年の夏、黒い龍の烏龍が雲の上から水の涸れた後家湖に落ち、草の上に横たわったままもがいていた。人々は烏龍を助けるために、2、3kmも離れた沂湖から水を運び、3日3晩かけて後家湖に水を満たした。沂湖の水は涸れが、烏龍は無事に天に戻ることが出来た。

翌年、後家湖に見たこともない草が一面に生えてきた。イヌホオズキ(犬酸漿)に似た花が咲き、茎は細く、幅の広い葉がついていた。その草は肝のように苦い味のする薬草だった。人々は、龍が授けてくれた肝のように苦い草なので、その草を龍胆草と呼ぶようになった。

リンドウ(竜胆)に関わる日光の「ニ荒縁起」。
昔、日光に役小角という人がいた。彼が山道を歩いていると、1匹の兎が、突然雪の中から現れて草の根を掘りはじめた。小角は兎に近寄って、どうして掘っているのか尋ねた。兎は、病気の主人のために持って行くのだと答えた。小角もこの草を持ち帰り、病人に飲ませてみたところ非常によく効きいた。そして、龍胆根という胃の妙薬になった。これは、ニ荒の神が兎に姿を変えてお告げをしてくれたのだとして、霊草として今に伝えている。

画像「笹竜胆」の家紋のいわれ話。
平安時代末期、鎌倉時代初期の武将で、鎌倉幕府の初代征夷大将軍として知られている源頼朝が狩りをしている時、花を持っている1人の少女に出会った。頼朝が少女に花の名を尋ねると、少女は万葉集の「道の辺の尾花がしたの思ひ草 今さらさらに何をか思はむ」という古歌を引いて「秋の野の 尾花にまじり 咲く花の 色にや恋ひん 逢ふよしをなみ」と詠み、「思ひ草と申します」と答えた。この少女が後に頼朝の妻となる北条政子だった。頼朝に縁のある竜胆が源氏の主な家紋「笹竜胆紋」として伝わるようになった。(思ひ草はナンバンギセル(南蛮煙管)だともいわれている。)


画像紀元前180~67年、イリュリアの王であったジェンテウスは、領民がペストに苦しめられたので、山野にわけ入り、神に祈ったという。「どうか特効薬をお教え欲しい」そう言って矢を放つと、リンドウ(竜胆)の根にささった。それで薬用に用いたという。リンドウ(竜胆)の英名「GENTIANA」は、王ジェンテウスの名前から来てる。古代エジプトでは、強壮剤、そして殺菌剤、健胃薬として知られてた。”

群生せず、一本ずつ咲く姿から花言葉は「悲しんでいるあなたを愛する」といわれている。

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