ク ズ ( 葛 )

秋の七草の1ツのクズ(葛)である。

8月の終わり頃から9月にかけて房状の花を咲かせるが、花は葉群の下になって目立たない。せっかくの美しさが残念である。

ある公園で、園道沿いや小道に生えている雑草に蔓を絡ませて咲いていた。

画像クズ(葛)の名前は、神武天皇東征に絶大な功績があった、磐排別(いわおしわく)の子供の名前、大和国(奈良県)の国栖(くず)が、葛粉(くずこ:澱粉)の産地であり、この国栖(くず)の人々が京都に売りに来たことから由来するとされている。 漢字の「クズ(葛)」は漢名からきている。

まめ科クズ属の多年草。学名は「Pueraria lobata」であるが、属名の「Pueraria(プエラリア)」は、19世紀のスイスの植物学者「Puerari博士」の名前にちなみ、 種名の「lobata」は「浅裂した」を意味している。

原産地は日本や中国であり、日本各地、朝鮮半島から中国大陸に分布しており、アメリカに帰化している。日本全土の日当たりのよい山野や伐採地、放棄畑、野原、荒れ地、道路端などに繁殖し群生しているのを見ることができる。

画像10m以上に伸びる蔓、根元の部分は木質化している、茎は太く丈夫で、長く他に絡みついてのび、褐色毛に覆われてる。

葉は節ごとに1枚ずつ方向を異にして互い違いに生える互生し、3ツの小さな葉(小葉)で一ツの葉になっている3出複葉、小葉の柄は短く、2ツの側葉の形は長さが幅より長く、葉のほぼ中央が最も幅が広い楕円形、真中の小葉は長さと幅がほぼ同じ長さの円形である。葉縁は縁が滑らかで凹凸がない全縁で、長さ、巾とも100~150mm程である。葉の裏面は白味を帯びて毛が密集してざらざらしている。

秋の七草の1つ。開花時期は8月中旬頃~9月末頃。クズ(葛)の花は秋に、葉の腋から伸びた軸に総状花序を作る。花は長さ18~20mm、色は赤茶色で、花は蝶が飛んでいるような形の「蝶形花」をしており、立ち上がった花びらの旗弁とひらひらの蝶の羽のような花びらの翼弁、船の竜骨に似た花びらの竜骨弁からなっている。

果実は長さ60~80mm、巾8~10mmの扁平、茶褐色で有毛の莢をつける。

画像逆にクズ(葛)がアメリカに帰化した話。
1930年代アメリカでは、ルーズベルト大統領のニューディール政策によるテネシー河谷開発が行われてダムが建設され、土砂の流出を防いで緑化するために堤防にはクズ(葛)が植えられた。クズ(葛)は見事に期待に答え、40年代アメリカではアトランタに全米葛協会が設立され、毎年「クズ(葛)の女王コンテスト」が開かれるようになった。ところが成長の早いクズ(葛)は、太い根を張って野原や畑や道端を覆い尽くしたり、木や柱に巻きついたりして繁殖し過ぎたため、現在のアメリカでは嫌われている。

クズ(葛)の別名カッコントウ(葛根湯)にまつわる落語「葛根湯医者」。
どの病気にも「葛根湯をお飲みなさい。」という医者がいた。「先生、頭が痛いのですが…」「頭痛ですね、葛根湯をお飲みなさい。」「先生、おなかが痛いのですが…」「腹痛ですね、葛根湯をお飲みなさい。」「先生、目が痛いんですが…」「そうですか、葛根湯をお飲みなさい。はい、そちらの方は?」「私はただの付き添いです。」「そうですか、それは退屈でしょう、葛根湯をお飲みなさい。」

画像ヨシノクズ(吉野葛)にまつわる伝説と久助の話。
伝説によれば7、8世紀の頃、大和葛城山にいた呪術者役小角が、俗界を避けて吉野の山奥で修行中、草根木皮を採って飢えをしのぎ、クズ(葛)の根を掘って澱粉を採り、寒水にさらして長く貯蔵することを考えだし、これを弟子の角乗らが諸人に奨励したのがヨシノクズ(吉野葛)の起こりと伝えられている。また、後醍醐天皇が吉野の行在所におられたころに、大膳司に奉仕する厨人、久助というものが、御料葛の改良に苦心を重ね、ヨシノクズ(吉野葛)はまたキュウスケクズ(久助葛)といわれるようになったとも伝えられている。

商売熱心な高木久助という葛屋のお陰でヨシノクズ(吉野葛)はキュウスケクズ(久助葛)とも呼ばれるようになったそうである。それで、菓子屑が洒落として久助と呼ばれるようになり、そのまま久助という名前が定着したのではないかといわれている。

画像昔は、クズ(葛)の蔓を材料にして葛布に織って着物にしたり、葉を家畜の飼料にしていた。 葛布は今も各地に残る民芸織物に利用され、特に掛川(静岡)の葛布の織物は有名である。 また、クズ(葛)からとれる葛澱粉は和菓子の材料として利用されている。 根は多量の澱粉を含んでいて、「葛根(かっこん、解熱の漢方薬)」 になる。

地方では、甘みがある根茎を噛んで、噛む根という意味から、カンネや、馬が好んで葉を食べるので、ウマノボタモチという呼び名もある。また、葉が風にひるがえると裏の白さが 目立つことから別名を「裏見草(うらみぐさ)」と呼ばれて、平安時代には「裏見」を 「恨み」に掛けた和歌も多く詠まれた。

クズ(葛)を詠んだ和歌と俳句
「ま葛原 なびく秋風 吹くごとに 阿太の大野の 萩が花散る」 万葉集
「梨棗 黍に粟つぎ 延ふ葛の 後も逢はむと 葵花咲く」 万葉集
「葛の風 吹き返したる 裏葉かな」 高浜 虚子

花言葉は治療、芯の強さ、恋の溜息などである。

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