フジバカマ (藤 袴)

フジバカマ(藤袴)は昔、川べりや土手などによく咲いていたが、最近はめったに見ることがなくなった。

可憐で、どことなく寂しげな花姿が、日本人に愛されてきたフジバカマ(藤袴)だが、中国では古くから香草として使われ、葉を湯に入れたり、衣服や髪につけたといわれている。

日本には奈良時代に渡来し、香水欄などという美しい呼び方もある。

淡紅紫色の風情のある花で、源氏物語にも藤袴の巻などあり、古来より愛されてきた花である。

画像フジバカマ(藤袴)の名前の由来は、「和名抄」には、「蘭の名に対して、本草和名では、布知波加万(ふじばかま)と言う。新選万葉集では、別に藤袴の二字を用いている」という記述があり、袴を帯び、花の色が藤色をしていることから、フジバカマと呼ばれるようになったとされている。 このことから、古くからフジバカマ(藤袴)の名前があったことがうかがえる。

きく科フジバカマ属の多年草で、学名は「Eupatorium fortunei」である。属名の「 Eupatorium(ユーパトリアム)」は、紀元前1世紀の小アジア地方の「ユーパトール王」の名前にちなんだものである。「ユーパトール王」は、フジバカマ属の植物を薬用にしていたらしい。種名の「fortunei」は、植物採集家の「フォーチュン氏」の 名前を意味している。

画像日本や中国、朝鮮半島に分布しており、毎年花を咲かせる。河原や池の側など水辺に好んで自生している。日本には古くに渡来し、奈良時代から平安時代にかし野生化したといわれている。秋の七草のひとつであり、派手さはないがその郷愁を誘う花姿が日本人に愛されて、様々な古典文学にも登場している。

それほど愛されて、ありふれていた植物にもかかわらず、現在では野生のものは激減した。もともと性質は強健で丈夫な植物なので、護岸工事や宅地造成など戦後の急激な開発により、住処を追われたことが減少した一番の理由ではないかと思っている。植物園で栽培しているものや栽培品種は比較的よく見られるが、かつてのように野原に群生してるものはほぼ見られなかなった。

 画像横に伸びる地下茎を持ち、そこから円柱状で無毛の茎を、真っ直ぐに直立して硬い。葉は下部で3ツ裂けており、葉質はやや硬く光沢がある。葉は茎の各節から2枚ずつ向き合って出ているも対生し、短くても葉柄がある。縁は鋸の歯のようなギザギザが斜め前方を向いて揃っている鋸歯状に切れ込み、生乾きのときにはかすかに匂う。

夏の8月頃からの初冬の11下旬頃にかけて、茎の頂きに淡紅紫色を帯びた白い花をヒマワリとかガーベラのように、中心の部分に集中している管状花を、花軸に柄のある花が沢山ついていて、下からつく花の柄が長く花がたいらに集まる咲き方を散房状につける。栽培されている品種は従来の野生種に比べると赤みが強い。草丈は1m~2mになる大型の草花である。

花が咲いた後は、タンポポ(蒲公英)のような白い綿毛をもった種ができ、風によって遠くへ運ばれる。

生の場合には、香りはないが、刈り取った茎葉を半乾きの状態にすると、桜餅の葉のような香りがする。中国では「蘭草」や「香水蘭」とも呼ばれている。具体的には桜餅の葉の香りに似ており、これは、クマリン、クマリン酸、チモハイドキノンによるもので、古く中国では花の一枝を女の子の簪にしたり、香袋として身につけていた。平安時代の女性は、これを干した茎や葉っぱを水につけて髪を洗った。 また、防虫剤、芳香剤、お茶などにも利用した。

画像日本書紀(允恭天皇の項)にある「蘭」の字が、日本で最初に記されたフジバカマ(藤袴)の名である。
後に允恭天皇の皇后となる忍坂大中姫命が嫁ぐ前の出来事である。姫が庭で1人で遊んでいると、そばの道を馬に乗って通りかかった闘鶏国造が、垣根越しに「その蘭を1茎くれ」といった。姫が蘭を採って渡し、何に使うために蘭がいるのか尋ねると、彼は「山に行った時に蠅を払うためだ。」と答えて去っていった。姫はその返事にとても怒り、「あの者の顔は絶対に忘れない。」といった。

その後、姫が皇后になると、その者を探し出し、昔の罪で死刑にしようとした。併し、彼が顔を地面に擦りつけて、「私の罪は死罪に相当するが、あの時はこれほど貴いお方とは知らなかった。どうか許して欲しい。」と泣いて謝ったので、皇后は不憫に思い、死刑を赦し、彼の姓をおとして稲置にした。

画像フジバカマ(藤袴)の伝説 (飛鳥井雅親著した「古今栄雅抄」より)。
昔、秋雨の降る夕暮れに、臈長けた美しい姫が泣きながら野辺をさまよっていた。この世のものとは思えない姫の姿に里人達は皆近付くことができなかった。雨の一夜が明けると、姫の姿はどこにもなく、かわりに、名も知れぬ可憐な薄紫色の花が咲いていた。里人達は、あの姫はきっとこの花の精に違いないと思い、姫がはいていた藤蔓を晒して織った袴にちなんで、その花をフジバカマ(藤袴)と名付けた。

フジバカマ(藤袴)を詠んだ和歌
「宿りせし ひとの形見か 藤袴 忘られがたき 香に匂ひつつ」 紀貫之 古今和歌集 (この伝説をきいて詠んだ歌である)
「藤袴 きて脱ぎかけし 主や誰 問へどこたへず 野辺の秋風」 源実朝 金槐和歌集

花言葉は、あの日を思い出す、遅延、躊躇などである。

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